第270話 成績を上げる意外な方法 その121
「こんな大金貰っていいのか…!」
親が過剰な節約をしていた時、親戚からのお年玉は全部「貯金する」と取り上げられていた。両親からのお年玉も「銀行に預けてある」と一点張りだった。
唯一、祖父母からのお年玉は自由に使えたのだ。そうでなかったら、満の不満は爆発していただろう。
そして今年の正月に、満名義の通帳を見せられた。そこには、今までもらったお年玉がちゃんと貯金されていた。
今年は親戚からもらったお年玉は、一旦満が自由に使ってもいい、と言われた。両親も、現金で渡した後「今まで我慢させてしまったから、今年のお年玉は自由に使ってもいい」と言われたので、それで欲しい物を買ったり、何回かゲームセンターで遊んだ後は残った分をとりあえず貯金箱に入れて取っておくことにしたのだ。
「…まだ今年のお年玉の分は残っているしなあ…」
机の上に置いてある、銀色の缶の貯金箱を見て満は呟いた。
一通りやりたい事をやれた事から、満はよほどの事がない限り貯金箱のお金に手を付けなくなったのだ。お小遣いは今でも週に一度のペースで与えられているから、月末にお金が無くなる、という不安はあまりない。
思えば祖父母のおかげで、自由にお金が使えないという不満が思ったよりなかったかもしれない。だから不満が原因で浪費に走る、という事がなかったのだ。
そう思ったら、改めて祖父母の有難さが身に染みた。祖父母がいたからこそ、満はお金の事で不満を抱えずにすんだから。
「…今度、爺ちゃん達になんか買っていこう」
五万円を大事に封筒へ仕舞った満は、それを机の引き出しへ入れると、まずお年玉の残りで祖父母に感謝の気持ちを伝えよう、と決めたのだった。
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