第269話 成績を上げる意外な方法 その120

「おかげで、満が『望ヶ丘高校へ行きたい』と言った時、気兼ねなく行かせられた。ほんと、霧島さんには感謝しかないよ」

「霧島さん…!?」

 思わぬ名前に、満は驚きの声を出す。

「ああ、その人は『霧島 舞』さんというんだ。元銀行員だったが、私達のような人を助けたいから、とファイナンシャルプランナーになって相談にのってくれているんだ」

 そう言いながら、三村は鞄の中から一冊の本を出す。

「今でもこの人の本はよく読んでいるよ。分かりやすいし、本当にためになる」

「うちもその本をよく読んでいるわ。台所に置いてあるから、満も読んでみて」

 まさかその場でファイナンシャルプランナーが書いた本を勧められるとは、思いもしなかった満だった。

 

 勧められた本を読まずに自室に戻った満は、三村から渡された封筒を丁寧に開けてみた。

「……!?」

 そこから取り出したお札を見て、何度も確認した。一万円札が五枚も入っていたのだ!

「す、すげえ…!!」

 お年玉の時でもなかなか見れない大金に満は震える。これで欲しい物や、好きな事が出来る!という気になる前に、ただただ圧倒されていたのだ!

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