第268話 成績を上げる意外な方法 その119

 満の両親は、幼なじみで店のために必死で頑張っていた三村を見捨てなかった。それで過剰な節約をしてまで代わりに借金を返していたのだ。

 それから三年後、三村はアルバイトを掛け持ちしながら、少しづつ借金を返す日々を送っていた。それでも、どうすればいいのか分からなくて、ただただ働くための毎日を過ごしていた。

 そんなある日、あるファイナンシャルプランナーの無料セミナーのポスターを見て、ふと参加してみた。すると、いろいろなアドバイスを貰えた事から、数か月後に条件のいい会社へ再就職できたのだ。

 しかも、紹介してくれた弁護士のおかげで借金を大幅に減らせた。これで、もう満の両親は、自分のせいで苦しまなくてもいい、と心から思ったのだ。

 そして今日、満の家へ来たのはお金を渡すためだった。再就職した後、毎月わざわざ菓子折りを持ってきて、満の両親へ少しづつ、これまで代わりに払ってくれていた借金の分のお金を返しに来ていたのだ。


「そうだったんだ…」

 初めて知った事実に、満は驚きの声をもらした。

「しかも、後で聞いてみたところ満ちゃんが中三になる前に、同じファイナンシャルプランナーの人からアドバイスを貰った、って聞いたんだ。しかも、俺の時に世話になった弁護士さんが、同じく力を貸してくれたおかげで、その借金の支払いの時に過払い金が発生していたことが分かって、それでもう俺の借金の支払いを終わらせることが出来たんだよ」

 そう三村が説明した後、満は中三の時に過剰な節約を止めた理由が分かった。その人のおかげで、もう借金を払わなくてすんだからだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る