第267話 成績を上げる意外な方法 その118
受け取った白い封筒の中は、お札が数枚入っている。さすがにその場で封筒を開けなかったが、手触りで何となくそんな気がした。
「何か、すまんな」
「いやいや、俺のせいでしばらくの間、満ちゃんが辛い目に遭ったんだ。せめてこれくらいさせてくれ」
「えっ!?」
満が雑貨屋の店主である三村と再会したのは、四年ぶりだ。突然、店を閉めてどこかに行ってしまったのだ。
「満ちゃん、すまんかったな。俺が満ちゃんの親を借金の保証人にしてしまったから、お金の事で辛い目に遭わせてしまって」
「おいおい…!?」
三村からの言葉に、満の父親は止めようとする。
「満ちゃんは、もう子供じゃなんだ。これから俺のような失敗をさせないためにも、言った方がいい」
それに対し、三村は強い決意を込めた顔になっていた。一人の大人として、大事な事を教えるために。
「借金の保証人…!?」
ドラマの中でしか聞いたことがない突然の言葉に、満は戸惑う。三村は、満へ居間に入って近くに座るように促すと、満の方を向いて、正座で話し始めた。
四年前、三村が経営する雑貨屋は苦しい状態だった。
近くにコンビニができてしまったため、お客さんが減ってしまったのだ。それでも立て直そうと、借金をしてきたが、とうとう閉店してしまった。
店と、家を売っても借金は残った。返すために仕事を探したが、なかなか見つからなかった。
その間、保証人になってくれた満の両親が代わりに借金を返してくれていたのだ。あまりの申訳の無さに、三村は満の両親に顔向けが出来なかったのだ。
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