第262話成績を上げる意外な方法 その113

「結!」

 何事もなかったように教室へ入ってきた結を、心配した顔の華が呼びかけた。

「結!さっき作高さんに絡まれたって本当!?」

 今まで華が教室から出なかったのは、他の同級生達から止められたからだ。作高が逆恨みをしている華まで出てきたら、さらに大事になってしまう、と。

「ええ。作高さんから呼び止められましたが、どうにか予鈴まで話は終わりました」

「話って、何!?まさかまた結への悪口を言っていたんじゃ!?」

 華は心配しているのか、さらに聞いてきた。

「作高さんは、注目されなくなった事で不満を持っていました。それで私は、私なりに意見を言っただけですが」

 華を落ち着かせるように、結は説明する。

「意見って、何言ったの?」

「…確か、メイクについてだったような」

 結が答える前に、たまたま廊下に居た別の同級生が答えた。

「…そっか!作高さんメイクをしていたから!」

 思い出したように、華は手をポンと叩いた。    

「…どうなるかヒヤヒヤしたけど、霧島さんは作高を説得したよ」

「ホント、スゴかった~!」

 同じく廊下で成り行きを見ていた別の同級生達も、作高を落ち着かせた結を賞賛し始める。それを聞いた結は少々戸惑い始め、華は満面の笑みを浮かべ始めた。

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