第263話 成績を上げる意外な方法 その114

「そうでしょ!結って凄いでしょ!!」

 急に、華が結を褒め始めた。 

「頭いいし、困っている人を助けるし!結は私の引き立て役なんかじゃないわ!!」

 教室に居る同級生達へ、華はそう言い始める。作高が言っていた『引き立て役』に対して、はっきりと否定するように。

「結はもっと自分に自信を持つべきよ!だからお洒落に挑戦してみましょう!!」

 結の手を強引に取り、右手をビシィっと天井の方へ差しながら華はテンションを上げていく。当の結本人は、そのテンションの高さについて行くどころか、置いてきぼり状態となっていた。  

「何一人で勝手に盛り上がっているの?肝心の霧島さんはそんな気などないのに」

 急な華のテンションに戸惑っていた同級生達の中から、皮肉な声が聞こえてきた。

「根室さん」

 結が名を呼んだそのボブカットの女学生は、結と華の近くまでやって来る。 

「どうして急に『お洒落しよう」』って話になるの?」

 先ほどの華の発言に、根室は嫌味を込めた口調で聞いてきた。

「…えっ!?だって結もお化粧したり、可愛い服を着ればいいかな、って」 

「それって外見を変えればいい、ってことでしょ?それなら、霧島さんの今の外見を認めていないってことじゃない?」

 当の本人はそんな気がないのに、無理やり外見を変えさせようとする華へ、根室はそう言い始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る