第260話 成績を上げる意外な方法 その111
「…霧島さん、作高さんを説得しちゃった!?」
二組の教室の出入り口の近くに立っていた田川は、斜め上すぎる展開に驚愕していた。
「…うん!作高さんが霧島さんへ八つ当たりをするとは思っていたけど、まさか霧島さんが逆にアドバイスするとは…!?」
隣に居た鳥山も、唖然とした顔で見ていた。もし作高がエスカレートするのなら止めようと思っていたが、結は逆恨みしてきた作高に臆せず、冷静な態度で対応したのだ。
「…だけど驚いたわ。霧島さんも、成宮さんを羨んでいたなんて…」
田川も、かつて華を妬んでいた時があった。だが、結のおかげで今ではそれから解放されたのだ。
「もしかしたら、作高さんを落ち着かせるために話したのかもしれない。霧島さんは、作高さんもこのままにしておけない、と思ったかもしれないから」
同じ気持ちを持っている。と伝えれば、まだ話を聞いてもらえるかもしれない。だから結は自分の経験を話すことによって、作高が耳を傾けるようにしたのだ。
「…これで、作高さんはもう嫌がらせはしないと思う。霧島さんから、どうすればいいのかヒントを貰ったんじゃないかな」
逆恨みをして嫌がらせとするより、理想の自分になるための努力をする。その方が、断然いいのだ。
そうすればもう意地悪な事はしないだろうし、内面を磨くことに目を向ければ精神的にも成長できる。
それは、作高が自分を顧みる事で、今までやって来た悪質なイジリや脅迫に対して反省する可能性がある、という事だ。
「…本当に、君は何人もの人を救っているんだね」
鳥山からの驚嘆の声に、田川は頷いたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます