第259話 成績を上げる意外な方法 その110

 結からの提案に、作高は一瞬「…なるほど!」と思ってしまった。お金をかけずにすむ方法なら、成宮華より支持を得られるかもしれない。

「ネットで情報を得るのもいいですし、学校の図書室にもメイク関係の本がたくさんありました。その記事が載っている雑誌も、何冊かありますので」

「…マジ!?」

 スマホ以外でも情報が得られる、と知って作高のテンションは急に上がった。

「あと礼儀作法を身に着けると、さらに魅力が増します。正しいマナーを身に着けた方が、好感度が上がりますよ」

「!?」

 好感度が上がる。この言葉に、作高はさらに食いついた。 

「さらに今までの自分の行動を全部正直に書き出してみて『自分ではなく、別人の行動を観察してメモしてみた』と思いながら読んでみてください。それでなぜそう思い、そう感じたのかとことん考えて見るのも、理想の自分になれる一つの方法です」

 理想の自分になれる。その言葉は作高にとって、今の状況から救ってくれる希望を与えてくれた。 

「そろそろ予鈴がなりますので、もう教室へ戻りますが、よろしいでしょうか?」

 昼休みが終わりに近づいている。それで結は教室へ戻る、と聞いてくるが、

「…!あ!うん!」

 もうすでに、これから理想の自分になる事について頭がいっぱいだった作高は、結をあっさり解放したのだった。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る