第258話 成績を上げる意外な方法 その109

 結の両親は、結の話をちゃんと聞いてくれた。やりたい事を何でもやらせてくれた。

 失敗した時は責めずに、真剣に向き合って一緒にどうすればいいのか考え、アドバイスをくれた。

 だから結は中三の頃には、華に会っても黒い感情が沸き上がらずにすんだのだ。もう、華と比べて自分を卑下しなくてもよくなったくらいに。

「私の父は『一人の時は、一人でできる事をなんでもやってみるといい』と言っていました。だから私は、とことん一人でできる事をやったのです。それでようやく華さんは華さん、私は私だ、と思えるようになりました」

 結の意外な一面に、作高は衝撃を受けていたのだ。まさか、成宮華を妬んでいたとは思いもよらなかった。

 だが結は、好きな事をし続けた事で妬まなくてもよくなった。作高にとって、なぜか急に『ヒントを貰った』ような気がしたのだ。 

「作高さんは素晴らしい容姿を持っています。それに内面の良さが加われば、再び注目されると思いますよ」

「―!?」

 突然の、結からのアドバイスに作高は面食らったのだった。

「メイクが好きなら、それを極めてみる、というのも一つの手です。誰でも気軽にやりやすい方法なら華さんより注目されやすい、と思いますよ」

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