第256話 成績を上げる意外な方法 その107
「作高さんは、周りから注目されたいのですか?」
悪意ある言葉をぶつけられても、動揺せずに結は落ち着いた声で聞いてきた。
「…は!?」
結からの質問に、作高は「何言ってんの!?」と苛立つ。
「貴女は元から整った顔立ちをしていますが、さらに目立つようにメイクをしていました。服装も人目を引くように制服を着崩していましたし、もしかしたらわざと誰かの目に留まるようにしていたのかと思っていました」
確かに結と作高では、作高の方が目立つ。黒髪のセミロングで真面目に制服を着ている結と、明るい茶髪の艶があるロングヘアにワザと制服を着崩した作高では、作高の方が目を引くだろう。
「ですが、今の貴女は『相手にされなくなった』状況に対して不満があるようです。だから私は、周りから注目されなくなったのに苛立っている、と思いましたが」
冷静に分析をした結へ、作高は真意を当てられたようにすぐ反論できなかった。
「さらに、それは華さんのせいであるように言っています。華さんがあの時、周りから絶賛されたのはお金持ちだからではなく、悪口を言われた私をかばったからです。皆さんは華さんが行った行為を見て、外見だけでなく心も優れている華さんの方が素晴らしい、と思ったからなんです」
なぜ華の方が支持されるのか、作高へ伝わるように結は冷静に説明した。
「何よ!アンタは成宮華の引き立て役じゃない!悔しいとか、妬ましいとか思わないの!?」
華やかな雰囲気の美少女である華がそばいる事で、結は比べられ、悪く言われる。作高は、結にはそんな感情がないのか逆ギレしながら聞いたきた。
「ありますよ。華さんの事を羨む気持ちは」
作高の高ぶった感情を受け止めながら、結は冷静な顔のままそう答えた。
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