第252話 成績を上げる意外な方法 その103

「けどなんで、作高は他校の生徒からお金を脅し取ったんだ?」

「それなんだけど、京川が学遊塾の前で倒れた時、その生徒が助けたんだ。それを見ていた作高が『無理やり塾を休ませたことをバラす』って脅していたらしい」

 流が、噂話から得た情報を話す。

「…無理やり休ませた、って、倒れたら塾どころじゃないだろ!」

「当時の京川の親は、倒れても塾へ行け!って平気で思っていたらしいからなあ。さすがに今は、学校側から注意されて、考えを改めたって話だ」

「そうか」

 その話を聞いた満は、安心した顔になった。これでもう、京川は無理やり勉強させられないからだ。



 作高の停学の話は、二組でも他の生徒達から出ていた。

「別の学校の子を脅して、コンビニでお金を支払わせていたんだって」

「それホント!?京川さんへの酷いイジリだけじゃなかったんだ!」

「まさか脅迫までするなんて、信じられない!?」

 その話は、鳥山の耳にも入っていた。一足先に知った同級生達がわざわざ教えてくれたからだ。

「停学なんて…、学校側がそこまでするなんて」

「今回はかなり悪質だ、と判断されたからね」

 報告してくれた同級生達が離れた後、田川がそっと話しかけてきた。

「しかも作高さんは、まだ反省してなかったらしい。だから学校側は厳しい態度をとったんだな」

 作高は、自席に座っていた。まだ少し不貞腐れた顔で頬杖をついている。

 スマホを手に持ってなかった理由は、昨日、親から罰として没収されたからだ。これからは自分で知りあいの店でアルバイトをして、携帯代だけでなくお小遣いも手に入れなければならなくなってしまった。   

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