第239話 成績を上げる意外な方法 その90

「この子を学遊塾へ入れるのは、止めておきます。まず、この性根を直さないと」

 作高の父親からの断念の言葉を聞いた時、酒井は胸をなぜ下した。

「なによ、その顔」

 それに気づいた作高が、すぐ八つ当たりする。 

「…あ、すみません。霧島さんが、絡まれずにすんで良かった、と思っちゃって…」

 酒井はもし作高が学遊塾に行ったら『今度は霧島さんが被害に遭う』と思ってしまったのだ。

「それなら心配いりませんよ。霧島さんは特級クラスですから」

「ええっ!?」

 塾長からの説明に作高一家だけでなく、京川一家も同時に声を出して驚いた。 

「特級って、礼彩学園へ余裕で入れる子達がいるクラスですよね!?」

 京川の父親がまだ驚いた状態で聞く。京川の父親はまず県一の進学校であるその高校へ進学させたかったからだ。

「私も聞いたことがあります!そのクラスは全員百点を取るのが当たり前だと!」

 作高の父親も、驚きの顔のまま言った。そうなると、結は自分の娘よりも頭がいい、という事になるのだ。

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