第237話 成績を上げる意外な方法 その88

「…一生懸命勉強しても、私の成績は上がらなかった。テストの度に、作高さんはその事で何度もイジってきたの」

 京川とは別の教室だったが、作高は帰る時にわざわざ待ち伏せして、廊下で大声で成績が悪い事をイジってきたのだ。しかも、一度や二度ではなく、塾へ行くたびに。

「とうとう我慢できなくなって、廊下で作高さんを突き飛ばしたの。そうしたら、作高さんの塾のクラスの先生が、私が『作高さんへ暴力をふるった』と報告したから、それで私は塾を辞めさせられたの…」

 京川の両親にとって、初めて知る真相だった。

 塾から、娘を辞めさせられた理由が『成績が伸びないから、他の塾へ行かせたほうがいい』と聞かされていたからだ。

「そうだったのか…」

 当時は『努力が足りないから、塾を辞めさせられたんだ』と激しく叱咤した。だが真相を知った今は、それは娘をさらに傷つける行為だった、と、京川の両親は親として深く後悔と反省をしていた。

「…すまんかった。頭ごなしに叱ったりして」

 再び京川の父親は、娘へ土下座をする。

「…!い、いいよお父さん!!」

 まさか塾側がそう言っていたとは、思ってもいなかった京川は慌てふためいた。

「…うちの娘が、重ね重ね本当にすみません…」

 同じく真相を知った作高の両親が、京川達へ深く頭を下げた。

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