第234話 成績を上げる意外な方法 その85
「…理香子、お父さんが悪かった」
娘の方へ体を向けると、両手をついて謝罪した。
「―お父さん!?」
いきなり謝った父親に、京川はびっくりした。まさか謝るなんて、思いもしなかったからだ。
「…君も、すまなかった。娘を助けてくれたのに、文句をぶつけるところだった」
続いて酒井へ顔を向けると、同じく謝罪した。
「いえいえ!?私の方こそ、勝手に代わりに塾へ行ってしまってすみませんでした!!」
あれだけ威圧感を出していた京川の父親が、それが完全に消滅した状態で頭を下げたのだ。酒井も、京川の父親へ頭を下げて詫びた。
「…塾はしばらく休もう。勉強は元気になってから、またやればいい」
それはこれまでの、京川の勉強漬けの日々が終わる瞬間だった。
「それならば、京川さんは一旦退塾、という事にしましょう」
「―ええ!?」
学遊塾の塾長からの宣言に、霧島家以外の一同から驚きの声が上がる。
「京川さんが元気になるまで塾を休む、という手もありますが、今回は理由があったとはいえ、別人が成りすまして塾に通っていた事と、当の本人は何度も塾をサボっていたというのは事実です。そのためのケジメは、きちんと付けなければなりません」
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