第229話 成績を上げる意外な方法 その80

「ええ、京川さんは休み時間の間ずっと勉強しなければならない状態でした。京川さんのお父さんは、学校で倒れた京川さんへ、絶対に塾へ行くように言っていたんです」

 すかさず、結が学校での様子を話す。

「―!?」

 結からの説明に、京川の父親は冷や汗が出た。娘に勉強を無理強いさせていたのが、取引先の相手に知られてしまったからだ。

「…倒れてしまったくらいに体調が悪いのに、塾へ行かせようとしたのですか?」

 決して責める口調ではなく、冷静に質問する感じで結の父親は聞く。それでも、京川の父親にとって結の父親からの質問は、下手に誤魔化せないものだった。

「…そ、それは」

 場合によっては、会社の取引に影響が出てしまう。

 どう答えればいいのか、京川の父親は必死で考えていた。

「同じ年の子供を持つ身としては、もしそれが本当でしたら見過ごすわけにはいかないと思いまして」

 結の父親が、そう聞いてきた理由を話す。

 それを見た京川は、結の父親が自分を心配してくれた事に感激していたのだ。

 こうして困っている人を助けようとするところが、霧島さんと同じなんだ、と。

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