「り、理香子っ！？」

　娘に突然バラされ、父親は怒るより焦った顔になった。

「お父さん、京川さんのお父さんとお知り合いなんですか？」

　今までのやり取りから、結はそう気づいていた。

「ああ、成宮グループの取引先の会社の社員だよ。五年前まで、うちの会社の担当だったんだ」

「そうなの！？」

　結の父親からの返答に、京川は驚いた声を出した。

「そ、そうなんだ！こちらの霧島さんは、本社の部長さんなんだ！お父さんも、仕事で何度もお世話になったんだぞ！！」

　京川の父親は、平社員だ。大手の取引先の部長に失礼があってはならない…、と京川の父親は慌てふためいていた。　

「そう固くならなくても大丈夫ですよ。私は公私混同はしませんから」

　落ち着かせるように、結の父親は声をかけた。

「…す、すみません」

　仕事の時と同じ、穏やかで落ち着いている結の父親に、京川の父親はみっともない姿を見せてしまった事に対して詫びた。

「いえいえ。聞くところによると、お嬢さんは休み時間も勉強しなければならないとか？」

　先ほどの京川の叫びを聞いた結の父親は、確認するためにそう聞いてきた。

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