第226話 成績を上げる意外な方法 その77

「お父さん、お母さん…!?」

 店長に続いて入ってきたのは、四十代くらいの男女だ。

「…え!?」

 結の言葉に、結と両親と塾長以外の全員が声を出した。

「おや、霧島さん。今晩は」

 塾長が丁寧にお辞儀をする。すると、結の両親も同時に「塾長先生、今晩は」と挨拶をしたのだ。

「…どうしてここに!?」

 まさか親が来るとは思ってなかった結は、そう聞いてきた。

「だいぶ遅いから、何かあったと思って来たんだ」

 壁に掛けてある時計を見ると、もう八時を過ぎていた。それで、心配した両親が迎えにきたらしい。

「…ごめんなさい。心配させて」

「いや、それよりお腹はすいてないか?」

「それは大丈夫です。コンビニのお握りを食べましたから」

 作高達の親が来るまでの間、結達は休憩室でコンビニのお握りをご馳走になっていたのだ。なお、お金は店長がすべて出した。

「そうでしたか。ありがとうございます」

 結の父親は、店長へ礼を言う。その丁寧な態度に店長は「いえいえ…」と恐縮した。

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