「塾の生徒の名簿には、ちゃんと京川さんの名前は載っています。だから京川さんはうちの大事な生徒です」

　にっこり笑いながら言い切った塾長に、作高は苦い顔をした。

「もしこれ以上、娘さんに無理やり勉強させるのなら教育虐待として、児童相談所へ通報しますよ」

「―！？」

　高校で、保健室の先生と同じ言葉を言った塾長に京川の両親は絶句する。

「…虐待って、そんなの相手にしないでしょ！」

「いえ、私が入塾する前、同じように教育虐待されていました生徒を児童相談所の職員と共に助け出した、という話は耳にしたことがあります」

　呆れていた作高へ、結はスマホの画面に映し出された記事を見せる。それは、学遊塾が当時、教育虐待されていた生徒を助けた、という内容だったのだ。

「…マジ！？」

　それを見た作高の顔から血の気が引いた。

「お前は黙っていろ！」

　何度も嫌な事を口にした自分の子供へ、作高の父親はきつく叱った。　

「…うう」

　父親から叱られ、さすがに作高は大人しくなった。

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