第218話 成績を上げる意外な方法 その69
「お前というやつは…!」
事情を知らされた父親は、作高の父親とは違う怒りに満ちた目で娘をにらんだ。
それに対し、京川は怯えていた。父親から酷く叱咤されるだけでは済まない、と絶望していたからだ。
「待ってください!京川さんは塾へ行く前からとても疲れていたんです!」
京川の隣に座っていた結が、立ち上がって京川の前に立った。
「…お前は!」
学校の保健室で会った事を思い出した京川の父親は結を見て一瞬驚く。だが、すぐに塾をサボった娘への怒りが満ちた顔に戻った。
「私が、京川さんへ代わりに塾へ行く事を持ちかけたんです!だから、京川さんは何も悪くありません!!」
夕飯代わりに差し出されたコンビニのお握りの包装紙を捨てに行っていた酒井が、休憩室へ入ながら叫ぶ。
そして結の傍まで駆け寄ると、京川をかばうために結の左側に立ったのだ。
「…!?」
突然現れた見知らぬす少女の言葉に、京川の父親はますます結達を睨みつけた。
それでも、結と酒井は怯まない。共に疲労で倒れそうになっても、親から勉強を強いられている京川を助けたい、と思っているからだ。
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