第217話 成績を上げる意外な方法 その68

「…この度は、本当に申し訳ありませんでした!」

 隣に居た母親も、一緒に深く頭を下げる。まさか娘がこんな酷い事をしていたとは思わなかったのだ。

「姪が望まなかったので、今回の事は警察には言いません。ただし、学校には通報させていただきます」

 毅然とした態度で告げた酒井の伯父に対し、作高の両親は「かまいません!」と承諾する。それくらい酷い事をしたのは、十分に分かっているからだ。

 両親がかばってくれなかったのを見て、作高は納得がいかない顔になった。「悪いのはそっちなのに」と不満を何度か口にしていたのだ。


「理香子っ!!」

 続けて休憩室にやって来たのは、京川の両親だ。

 塾が終ってもすぐ迎えに来なかったのは、京川があらかじめ「図書館で勉強する」と言っていたからだ。だから両親は連絡がくるまで、学遊塾へ来なかったというわけだ。

 だが実際はコンビニの休憩室で、酒井と一緒に塾での授業のおさらいをしていた。そうしないと、京川が塾に行っていないことがバレてしまうからだ。

 親が入って来た時、作高とは反対側に座っていた京川の体がビクッとなった。覚悟はしていたとはいえ、塾をサボっていたことがとうとうバレてしまったからだ。

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