第209話 成績を上げる意外な方法 その60

「作高さん、どうして酒井さんからお金を無理やり借りようとしたのですか?」

 京川と酒井を庇うように立っていた結が、強い眼差しで作高へ聞き始めた。

「…アンタには関係ないでしょ!?」

 ここまで首を突っ込んできた結へ、作高は苛立った顔になる。それでも結は動揺することなく、答えを待つように作高の顔を見続けていた。

「………っ!」

 どんなに睨みつけても、結はひるまない。結の強い意思に、作高はとうとう苛立ちながら逆ギレした。

「そいつがバイトして、お金を持っていると思ったからよ!そいつは地味だから、そんなにお金を使ってなさそうだったし!」

 身勝手な態度をとりながら、作高はそう叫ぶ。それを聞いて、結はさらにこう言ってきた。

「作高さんの家は、お金に困っているのですか?」

 冷静な言い方だったが、作高はそれでさらにヒートアップしてこう言い返した。

「別に!言えば何でも買ってくれるわよ!ただ、高い物は親がボーナス貰った時とか、お金に余裕がない時じゃないとダメなの!」

 この話から、作高の家は特にお金には困ってない事が分かった。ただ、何でもむやみに買い与えているわけでなく、高い物はすぐ買ってくれないらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る