第207話 成績を上げる意外な方法 その58
「それにどんな理由があっても、弱みに付け込んで恐喝したり、悪質なイジリをしていいわけではありません。だから私は、貴女達を助けたいのです」
そう言ってきた結の目を見た酒井は、なぜか心が軽くなってきた。誰にも言えなかった悩みを勇気をもって打ち明けたら、頭ごなしに否定されずに耳を傾けてくれて、救いの手を差し伸べてくれたのだ。
「…あり、がとう…」
また泣きそうになったが、今度は安堵の涙だ。
この人は、私達を助けてくれる。
ようやくこの苦しみから抜け出せる、と思えるようになった。
酒井がコンビニへ戻った後、結はコンビニの向こう側の歩道で作高が通るのを待った。
作高は必ず町の方へ寄り道して帰るので、帰り道であるこのコンビニの前を通るのはこの時間らしい。
結はこの時、親には『近くのコンビニに寄ってから帰ります』と連絡しといた。あまり遅くなったら、結の親が心配するからだ。
そしてコンビニの裏口の近くで、身を隠しながら作高が来るのを待った。スマホで時間をつぶしているフリをして、何度かコンビニの外の様子を見ていたのだ。
そうしているうちに、コンビニの自動ドアが開く音がした。コンビニの中を覗くと、作高がレジにいた酒井を脅している光景が結の目に入ったのだ。
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