第206話 成績を上げる意外な方法 その57
「酒井さんに対しては、お金を要求しているようですね」
「はい…、それは私がアルバイトをしているからだと思います」
酒井はお金を稼げるので、口止め料を取ったほうがいい、と思ったのだろう。
「でも、うちはお金に困っているんです。塾に行きたい、と言えないくらいに…」
家のためのお金を脅し取られてしまう事に、酒井は泣きそうな顔で辛い気持ちを吐き出した。
「…作高さんの貴女達への行いは、決して良くないものだと思います。私は、貴女達を助けるために力をお貸しします」
結が改めて言ったその言葉に、酒井の涙は止まる。
「どうして…?私達、悪い事をしてるんだよ」
「塾へ行かない事は良くない事ですが、京川さんの場合、塾よりまず休ませたほうがいい、と思うからです。貴女が代わりに塾へ行ったのは、このままだと京川さんがお父さんと同じように倒れてしまう、と心配されたからですよね」
結の言う通り、身代わりを提案した一番の理由は京川が倒れた父親に重なってしまったからだ。もっと早く気づけば…と、あの日から何度も自分を責め続けてしまった。
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