　望ヶ丘の制服を着た同じ年の少女だ。メイクをしていたその女子高校生は初対面なはずなのに、馴れ馴れしい口調で話しかけてきた。

「アンタ、学遊塾に通っている、京川と知り合い～？」

　京川の名前を出してきたが、酒井はとっさに「いいえ…」と答えた。この場合、この女子高生には知り合いだとバレない方がいい、と判断したからだ。

「ふ～ん、じゃあ、これな～に？」

　そう言いながら見せたスマホの画面には、コンビニの裏口の写真が何枚も写っていた。これを見た瞬間、酒井の顔が真っ青になった。

「これ見てみると、アンタが京川の代わりに学遊塾へ行っているってバレバレなんだけど～？」

　いつの間にか撮ったのか、コンビニの中の写真もある。京川へ学遊塾用の鞄を渡している場面も、しっかり写っていた。

「…どうして！？」

「だって帰り道に、何度も見かけたから～、何かあるって思ったのよね～」

　どうやら学校から家へ向かう途中で、京川を何度も見かけたのでからかってやろうとしたら、コンビニで酒井と入れ替わっていた事に気づいたらしい。

　それでコンビニの表側から入って、レジを乗り越えて様子を見てみたら、京川と酒井が一緒に居たので動画で隠し撮りをしたのだ。　

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい