第203話 成績を上げる意外な方法 その54

「…分かったよ。でも、あの子にはご両親へ話をするように言っといでくれよ」

 根負けした伯父へ、酒井は頭を下げた。 

「ありがとう!伯父さん!」

 こうして、酒井は京川の代わりに、学遊塾へ行く事となった。 

 学遊塾へ行く時に親に送迎されなかったのが、京川にとって都合がよかった。塾へ行く前にコンビニに寄って、簡単に酒井と入れ替わることができたからだ。

 コンビニに居る間、京川は部屋で休んでいた。二時間くらいだが、机に突っ伏して寝られるのが正直ありがたかったのだ。

 酒井が学遊塾から戻ってきたら、コンビニの従業員用の部屋で鞄を受け取る。そして裏口から出て、京川は家へと帰っていった。

 数回ほどこうして学遊塾へ通ったが、その時は周りにバレてなかった。酒井は学遊塾に居る時常に無言で勉強していたし、授業中はなるべく大声でしゃべらないようにしていたからだ。


 だが、京川の学校で中間テストが帰ってきた日、酒井はコンビニの裏口から出た時、いきなり声をかけられた。

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