第202話 成績を上げる意外な方法 その53

 酒井は伯父に事情を話し、今から身代わりなって塾へ行く事を話した。

 伯父は初めは慌てふためいたが、京川がまだ起き上がれないくらい疲れていると言われてしまい、さらに酒井が必死な顔で「勉強したい」と言われてしまったことら、伯父は何も言えなくなってしまったのだ。

 このコンビニは他にも店員がいるが、今日のシフトは伯父と酒井だけだ。この時間帯はあまり客が来ないので、伯父一人でも何とかまわれそうだった。

「バイト代は出せなくなるけど、それでもいいのかい?」

 身代わりで塾に行くとなれば、さすがにその時間は働けなくなる。家計を助けるためにアルバイトをしているのだから「それでもいいのか?」と聞いた。

「それは別の日に埋め合わせします!お金も大事だけど、健康はもっと大事です!」

 そう言った理由を、伯父は分かっていた。父親がお金をもっと稼ぐために働きすぎて入院したからだ、と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る