第197話 成績を上げる意外な方法 その㊽
「京川さん達を助けたいからです」
はっきりとそう言った結に、作高は「はあっ!?」と戸惑う声を出す。
結は京川だけでなく、他にも助けたい者がいるということだ。それが誰なのか、作高には心当たりがなかった。
「京川さん、先ほどこちらの酒井さんからすべてお聞きしました。作高さんが、貴女達を脅すのに利用していた学遊塾での事も」
コンビニの店員の女の子―酒井は、驚く京川の顔を見て、結が言った通りだと肯定するように頷いた。
結が学遊塾で京川と話をした時、ある違和感に気づいた。
それは、今日の学校での出来事を話をした時だ。「先生も助けたいと思っている」と話した時、目の前の京川の反応が一瞬違っていたから。
もし本人なら、初めて聞いたように驚かないはず。だが、一瞬とはいえ目の前の京川は初めて聞くような反応をしていた。
そして、この時に漏らしていた声に、結は聞き覚えがあったのだ。それは、あのコンビニで作高に脅されていた店員の女の子の声だと確信していた。
結はいろんなアニメを見ているので、声優さんの声を聞き分けるために声色など意識して聞くことが多い。それが今回役にたった、という訳である。
目の前にいる京川が、コンビニの店員の女の子だと分かった結はなぜ顔を隠すなど目立たない恰好をしていたのか推理した。背格好が似ているとはいえ、もし顔を見られたら別人だとバレてしまうからだ。
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