第195話 成績を上げる意外な方法 その㊻

「ちょっとお金を貸してくれな~い?二万円ぐらいでいいから~」

「―!?」

 高校生には大金とも言える額に、店員の女の子の顔がこわばった。

「バイトしているから、これくらい余裕でしょ~!」

 いくらアルバイトをしているからって、二万円もの大金を貸す余裕なんでない。ただでさえ、家はお金に困っているのに。

「もし言わなかったら、これ、あいつの親に言っちゃうよ~!あいつの親とは顔見知りだから、これがバレたらあいつは親からもっと厳しくされるかもね~?」

 そう言われながらスマホを見せられた時、店員の女の子はひどく悩み始めた。もし、これがバレてしまったらお互い辛い事となってしまう。

 どうしよう…、と解決策が出ないまま何も言えなった時、レジの奥の部屋から思わぬ人物が現れた。

「…えっ!?」

 女子高生の顔から、余裕が消える。その人物は、鬼気迫った顔で睨みつけていたからだ。

「…邪魔するな」

「…ひっ!?」

「もう私達の邪魔をするなあああっ―――!!」

 怒りの咆哮と同時に、両手で持っていた三冊の参考書を女子高生にめがけて振り下ろした!

「待ってください!京川さん!」

 それを制しようとする声を出した結が、二人の間に入って咄嗟に、自分の塾の鞄で京川の怒りがこもった参考書を受け止めたのだ!

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