第192話 成績を上げる意外な方法 その㊸
「…くっ!」
優等生である結が全部話せば、先生はすぐ信じてしまう。それだけは、何としてでも防ぎたかった。
「貴女は、塾の先生に褒められたという理由で京川さんに嫌な思いをさせていました。勉強は誰かに褒められるためではなく、これから生きる方法を考える力を身に着
けるためにするものです」
「はあ…!?」
結からの言葉に、作高は『信じられない』という顔になる。結が優等生なのは、華のように周りから注目されたいからだ、と思っていたからだ。
「私は京川さんを助けたいのです。貴女からのそんな嫌がらせから。そのために強行手段を使わせていただきます」
真剣な結の目を見て、作高は『マジでやる気!?』と思ってしまった。地味で目立たないから、こんな事をしようとは思わなかったのだ。
「…分かったわよ」
観念したように、作高は呟いた。
「だから絶対チクるじゃないわよ!」
そう叫ぶと、作高は速足でそこから離れて行った。
この時、作高と結は気づいてなかった。
結がコンビニの事を言った時、京川の足がいったん止まったことに。
そして結と作高の話を、京川が一部始終聞いてたことを。
作高より一足早く立ち去った京川が、作高へある疑惑を抱いたことも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます