第190話 成績を上げる意外な方法 その㊶
「…そんな理由なの?」
作高がやたらと絡んできた理由を知って、京川は怒りを通り越して呆れていた。
「成績が低いクセに、塾の先生がアンタを褒めていたんだよっ!『いつも一生懸命勉強して偉い』って!」
もはや逆ギレ状態な作高には、さらに当たり散らしていた。自分より成績が下の京川が、ただ勉強しているだけで褒められたのが気に食わなかった、という理由で。
「作高さん、あなたは塾で京川さんより勉強していた?」
その理由が明らかになった時、夏風先生は、今度はこんな質問をした。
「…えっ!?」
さらなる予想外なその質問に、作高は怒りが抜けた声を出す。
「もしかしたら、休憩時間に勉強してなかったから、塾の先生は作高さんにはそう言わなかったかもしれないわ。先生としては、真面目に勉強している生徒を見ると『頑
張っているなあ』って感心したくなるものよ」
それは学校の先生も同じ、という顔で夏風先生は言う。
「でも京川さん、貴女の場合、頑張りすぎだと思うわ。一度保護者の方をお話ししたいから、都合のいい日を聞いてくてないかしら?」
「…え!?」
頑張りすぎている。そんな事を言われたのは初めてだった。
両親は今でも「成績が上がらないのは努力が足りないからだ!」と怒ってくる。だから。もっともっと頑張らなければならない、と思って必死だった。
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