第189話 成績を上げる意外な方法 その㊵

「私が見た限りでは、その時の作高さんはどこか楽しそうでしたよ。自分より成績が低い人を小馬鹿にするのはやめられない、そんな風に見えました」

 その時の様子を思い出しながら、結はそう話した。

「―!?」

 客観的に自分がしたことを話され、作高は顔が真っ赤になる。

「作高さんはどうなの?霧島さんが言ったように楽しかった?」

 確認するように、夏風先生はさらに聞いてみる。

「………」

 恥ずかしいのか、それとも結にバラされた逆恨みなのか作高は顔が真っ赤のまま言葉が出なかった。

「それなら、別の質問。なぜ京川さんの勉強を邪魔するのかしら?」

 さらに根掘り葉掘り聞いてくる夏風先生に、作高はだんだんウンザリし始めてきた。今までそんなに深く考えてなかったからだ。

「ウザかったから」

「…え?」

 今まで黙って聞いていた京川が、驚きの声をもらす。

「頭悪い癖に、いつも勉強しているアンタがウザかったから!」

 作高は、京川に向かっていきなり大声で怒鳴った。

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