第187話 成績を上げる意外な方法 その㊳
図書室で騒ぎを起こした件で、京川と作高が担任の先生に呼ばれたからだ。結は一部始終を目撃した、という事で当事者である二人と一緒に話を聞かれる事になった。
「作高さん、怪我はない?」
まずそう聞いて来たのは、一年二組の担任である夏風薫先生だ。ふんわりとした明るい茶色のロングヘアに、銀色の細いフレームの眼鏡をかけている。水色のスーツ
を爽やかに着こなしており、知的な大人の女性という雰囲気を纏っていた。
「…はい」
予想すらしてなかった京川からの反撃に、作高はまだショックが抜けてなかった。
「ならよかったわ。京川さん、どうしてあんな事をしたの?」
ここまで来た頃には、京川の怒りはだいぶおさまっていた。だからと言って、作高へ謝罪はしていないが。
そんな京川を責めるのではなく、理由を話してほしいという柔らかい口調で夏風先生は聞く。その言葉の端には、自分の生徒である京川を心配していることが伝わってきた。
「…」
京川は、答えなかった。どうしても言えない、という顔だったのだ。
「もしかしたら、作高さんがやたらと絡んできたからかもしれません。昨日も、教室で勉強をしていた時に邪魔をしていましたから」
思い当たるといえば、これかもしれないという感じで、結は代わりに説明した。
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