第186話 成績を上げる意外な方法 その㊲

 京川は、急に嫌味を言ってきた作高に対し、無言で問題集を解くことに集中した。

「遊学塾に行ってんのに、こんな問題も分からないわけ~?」

 塾の事を持ち出され、一瞬ピクっと反応する。だが、また問題集へ意識を向けた。

「まあ、ホントは塾へ行ってないんでしょ?アンタみたいな頭が悪いヤツが、そのまま行けるわけないよねえ?」

 そう言った瞬間、作高は急に体を押された。

 足が宙に浮いたほどの強い力だったため、作高は吹っ飛ばされた勢いで体のバランスを崩し、そのまま尻もちをついたのだ。

「―――!?」

 呆然とした顔で、作高は顔を上げた。

「作高さん!」

 駆けつけた結が、声をかける。作高は反応せずに、両手を床に着いたまま、京川を見て驚いていた。

 京川は、怒りに満ちていた。ここまで怒った顔を見せたのは初めてではないか、と思うくらい。

「京川さん…」

 落ち着かせようと、結は京川の名を呼ぶ。それでも、京川の怒りはまだ顔から消えなかった。

「どうしたの!?」

 本を返却していた、図書委員が慌ててやって来た。

 

 図書委員へ事情を話した後、結達三人は職員室まで行くこととなった。

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