第185話 成績を上げる意外な方法 その㊱

 次の日の昼休み、結は図書室に居た。

 今日は図書委員ではなく、一生徒としてだ。読みたい本を本棚から一冊取り出すと、空いている机を探し始めた。

(…あれは)

 奥の方の机を見た時、何冊の本が積まれていたのが目に入った。だが、それは図書館の本ではなく、参考書と問題集だ。

(…京川さん)

 初めて会った時と同じ、問題集を開いて必死で考え込んでいる。図書室に来ても、ここらの本を読む暇なんかないように。

(…あれは!?)

 そんな京川に、一人の女生徒が近づいて来た。少し派手なメイクが、勉強をしている京川の周りの雰囲気と比べるとやや浮いている。

 その女生徒を見た結は、速足で京川が居る席へと向かった。近くまで来ると、その女生徒の声が結の耳まで聞こえてきたのだ。


「アンタ、こんなとこで何やってんの~?」

 相変わらず小馬鹿にした調子で、作高は京川へ絡み始めた。

「ここ図書室でしょ~?なのに何で本を一冊も読まないの~?」

 周りに他の生徒が居なかったからか、近づいて来た結にも分かる声の大きさだ。

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