第181話 成績を上げる意外な方法 その㉜

「…霧島!?」

 私服姿の結が後ろに立っていたのを見て、作高はさすがに驚いていた。

「…なんでここに!?」

「お菓子を買いに来たからです」

 冷静に、結は右手で持っていたプリンを見せる。それを見て、作高はまた結を小馬鹿にしようと口を開いた。

「やっぱ私服もダサいわね~!それにお菓子を食べると太るわよ~!」

 作高が結にまで酷い事を言い出した事に、店員の少女はどうすればいいのか焦り始めた。

「店員さんへ無理やり品物を買ってもらおうとした貴女よりは、ダサくはないですよ」

 はっきりとそう言い返した結の態度に、店員の少女はさらに驚いた。

「…なっ!?」

 結からの反論に、作高は一瞬怯む。まさか、先ほどまでのやり取りを聞かれていたとは思わなかったからだ。

「…こいつ、じゃないこの子はあたしの友達なの!今日誕生日だから、そのプレゼントに買ってくれるって言うから!」

 誤魔化すように、作高は急にそう言い始めた。

「本当ですか?」

 だが結はその言葉をうのみにせず、店員の少女へ質問した。

「………」

 店員の少女の答えは、沈黙だった。そうではないが、間違いだという事が出来ない。それで困っている、という顔だ。

「貴女が作高さんから無理やり買わされようとしたところを、私は見ていますよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る