第180話 成績を上げる意外な方法 その㉛
「だから、代わりにこれ払ってくれない?」
結がレジへ向かうと、作高が小声でそう言いだした。
レジには結達と同じ年の店員が居て、作高からの無茶な申し出に困った顔をしていた。長い黒色の前髪をシンプルなヘアピンで留めている、おとなしい感じがする少女だ。
「…そ、そう言われましても」
客の一人として対応しているその少女の声は、断りたくても断り切れない、という状況だと周りに伝えている。だが、今この店には作高と結とこの店員しか居ない。
「ここでバイトしてるんなら、店員割引あるんでしょ?それにバイト代として、先にこのコスメを貰えばいいじゃん」
レジには、先ほど選んでいたコスメが全種類置かれていた。結にも、それらの値段が高い事は見当がつく。
「…それは、ちょっと」
「なら、バラしてもいいよね?そうなったら、困るのはアンタだけじゃないよね?」
「…!?」
脅迫とも言える作高からの言葉に、店員の少女は観念するしかない、と思い始めた。
「あの、作高さん」
いきなりかけられた別の声に、作高は振り向いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます