第180話 成績を上げる意外な方法 その㉛

「だから、代わりにこれ払ってくれない?」

 結がレジへ向かうと、作高が小声でそう言いだした。

 レジには結達と同じ年の店員が居て、作高からの無茶な申し出に困った顔をしていた。長い黒色の前髪をシンプルなヘアピンで留めている、おとなしい感じがする少女だ。

「…そ、そう言われましても」

 客の一人として対応しているその少女の声は、断りたくても断り切れない、という状況だと周りに伝えている。だが、今この店には作高と結とこの店員しか居ない。

「ここでバイトしてるんなら、店員割引あるんでしょ?それにバイト代として、先にこのコスメを貰えばいいじゃん」

 レジには、先ほど選んでいたコスメが全種類置かれていた。結にも、それらの値段が高い事は見当がつく。

「…それは、ちょっと」

「なら、バラしてもいいよね?そうなったら、困るのはアンタだけじゃないよね?」

「…!?」

 脅迫とも言える作高からの言葉に、店員の少女は観念するしかない、と思い始めた。

「あの、作高さん」

 いきなりかけられた別の声に、作高は振り向いた。

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