第179話 成績を上げる意外な方法 その㉚

 自宅へ向かおうとした結の前を、歩きスマホをしていた女学生が横切った。

「作高さん…!」 

 制服のまま、左手で鞄を持っているところを見ると、家に帰る前に町で遊んでいたらしい。

 スマホに夢中だったので、結がすぐ近くに居たとは気づかずにそのまま通り過ぎた。そして、周りを見ずに数歩先の信号がない横断歩道を渡っていくと、その前にあ

るコンビニへと入っていったのだ。

 それを見た結は、思わずそのコンビニがある方へと歩き出していた。

 横断歩道の前で一旦立ち止まると、左右を何回も見る。そして車が来なかったのを確認してから、横断歩道を渡り始めたのだ。

 コンビニの前まで来た結は、深呼吸をして心を落ち着かせる。その後、ここへ来た理由を用意できた結は、顔を上げて入店した。

 

 コンビニへと入った結は、まず作高を捜した。

 作高は、入り口の近くの化粧品のコーナーに居た。何種類のコスメを手に取り、品定めをしている。

 結は気づかれないように、奥の方へと進んだ。真っすぐ歩くと、お握りなどが置かれている棚が目に入る。

 結はその棚の近くまで来ると、すぐ右側へと曲がった。すると、別の棚には美味しそうなスイーツが何種類も置かれていた。 

 そのスイーツをじっくり見て、結は考え込んだ。やがて意を決したように、その内の一つであるプリンを取ってレジへと向かったのだ。

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