第175話 成績を上げる意外な方法 その㉖

「ほんとーにそうなの?」

 混乱していた京川は、その一言で我に返った。

「ほんとーは迷惑だと思ってんじゃない?霧島さんに面倒事を押し付けられて?」

 不愉快にさせるニュアンスを含んだ声を出したのは、作高だった。自席から、スマホの画面を見ながらそう言いだしたのだ。

「作高さん、おあいにくだけど私は自分から引き受けたのよ。だから、人の善意をそんな風に嫌なネタにするのは止めてくれる?」

 鳥山から注意されたのに、まだ京川へ絡んできた作高へ、田川は強い口調で抗議した。

「田川さんの言う通りだ。これ以上こんな事をするなら、僕は君を軽蔑するよ」

「…うっ」

 鳥山まで抗議したことから、さすがに作高は大人しくなった。

「そういうことだから、もしまた困ったことがあったら遠慮なく言ってね」

 安心させるように笑顔で言った田川を見て、ようやく京川から不安が消えた。

「鳥山さん、ありがとうございます」

 京川を庇ってくれたことへ、結は礼を言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る