第174話 成績を上げる意外な方法 その㉕

「すみません、ちょっとお伺いしたくて」

「…?」

 結がなぜまたここに来たのか、見当すらつかなかった。

「昨日、田川さんから助けていただいたことについて何ですが…」

 小声でそう言ってきた結の言葉に、京川は頭が真っ白になった。

「―――!!」

 立ち上がった京川は、大慌てで首だけでなく体も左右に動かす。

「田川さんは、あちらです」

 結が教えてくれた方向に居た同級生を見るなり、京川は慌てて走り出した。

「な、何!?」

 鳥山とそのまま話をしていた田川は、必死な形相で走ってきた京川に若干引いた。

「田川さん!迷惑かけてすみませんでした!」

 大声で、深くお辞儀をしてきた京川に、田川はびっくりしたままどうすればいいのか困惑した。

「田川さんは迷惑なんて思ってないよ」

「そうそう!だから気にしなくていいわよ!」

 助け船を出してくれた鳥山の言う通りだ、と田川は何度も頷く。 

「…そ、そう?」

 顔を上げた京川は、不安でおびえていた。迷惑をかけたから疎まれてしまうのでは?と。

「うん、困った時はお互い様だから」

 まだ納得できなかったような、本当に大丈夫なのか?京川は予想外の返答に混乱していた。

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