第169話 成績を上げる意外な方法 その⑳
「その前に、ちょっと京川さんへお聞きしたいことがあったのです。そうしたら、作高さんが京川さんへ絡んでいたところを見かけたので」
華へ説明した後、結はその女生徒の名札を見た。
名前は『作高 留美』と書かれており、名字の上に小さく『さくたか』と書かれている。
「霧島さん、京川さんを庇ってくれてありがとう」
鳥山から頭を下げられ、結は「いえ…」と返事をした。
「霧島って…」
「確か成宮華さんの従姉妹でしょ?」
「首席で学校に合格したって」
進学科だからか、結の噂は成績の方で有名だった。
「あんたが、成宮華に比べて地味な霧島?」
作高が、自分の容姿を自慢するように髪をかき上げながら言った。
明るい茶髪のロングヘアは、よく手入れがされているのか艶やかだ。ヘアアクセサリーも何か所に付けており、整った顔をさらに引き立てるナチュラルメイクをしてい
る。
ブレザーの制服をわざと着崩しており、本人は親しみやすい印象を出そうとしていた。
「失礼ね!結にそんな事を言うなんて!」
そんなに気にしていない結の代わりに、華が怒った。
「だって、明らかに霧島の方が地味でダサいでしょ?いいところのお嬢様であるアンタだって、そんなダサい子と一緒に居ても嫌だって言えばいいじゃん?」
悪口などあえて相手にしない結だったが、華はますます怒り出した。
「私は結をダサいとは思ってもいないわ!結は頭がいいことを全然自慢しないし、困っている人を当たり前のように助けるのよ!」
滅多に見せない、本気で怒る華に、作高はさすがにややひるんだ。
「成宮さんの言う通りだ。霧島さんは気くばりができるし、服装もきちんと身だしなみを整えているから清楚な印象だよ」
鳥山も、援護するように結の良い所を上げる。まさか鳥山に褒められるとは予想もしなかったので、結はつい顔を赤くしてしまったのだ。
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