第168話 成績を上げる意外な方法 その⑲
「結、どうしたの?」
再び別の声がしたので、京川だけでなく結も振り返った。
「華さん!?」
二組へ入ってきた生徒は、結の従姉妹である成宮華だ。お嬢様として華やかな雰囲気を漂わせている華に、二組の生徒達はあっという間に見とれていく。
「……!?」
華を見た瞬間、女生徒はまたも逆ギレしそうな顔となった。結の時とは違い、いい意味で注目を集めていることに嫉妬している、という感じだ。
「…あんたには、関係ないでしょ!?」
いきなりやって来た華へ、女生徒は苛立ちをぶつける。が、
「そんなわけないわよ?結がいきなり二組へ行ったから、何かあったのかな?って思ったのよ」
結が説明しようと、口を開く前に、
「作高さんが、京川さんに酷い事を言ったんだよ」
教室の外から、別の声が聞こえてきた。
「鳥山君!」
いかにもイケメン!という男子生徒が真っすぐ結達の方へと歩いて来た。
「作高さん、君は前から京川さんへ酷い事を言っているよね?」
そう聞いてきた鳥山の顔には『もうすでに知っているんだよ』と書いてあった。どうやら、前から京川へ嫌がらせをしていたらしい。
「京川さん、今まで気づかなくてすまなかった。同じクラスメイトなのに」
頭を下げて謝る鳥山の行為は、作高以外の同級生達を味方につけた。
「確かに、あれはひどいよねー」
「塾のテストの成績がいいからって、馬鹿にしていいわけじゃないのに」
周りから囁かれる非難の声に、作高は体を震わせている。
「つまり、結は京川さんがこの作高さんに馬鹿にされていたのを知って、助けようをしたってわけ?」
華は、鳥山が教室へ入ってくるまでの経緯を知らなかったのか、結へそう聞いてきた。
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