第159話 成績を上げる意外な方法 その⑩

「京川さん、先ほどご両親に連絡したらすぐ来てくれるそうよ」

 意識が戻ったとはいえ、まだ歩かせない方がいい。

 そう判断した浅野先生は、京川の親に連絡を入れたのだ。

「……!!」

 そう聞いた瞬間、京川が急に震え出した。まるで、これから恐ろしい事が起きるように。

「…どうしたの?」

 浅野先生も様子がおかしい事に気づく。理由を聞こうとした時、数回ノックの音が聞こえた。

「どうぞ」

 保健室へ入る許可をした後、二人の大人が速足で入ってきた。

「理香子!!」

 スーツを着た、四十代前半の男が、京川を見るなり無遠慮に怒鳴った。

「―!?」

 ベッドの上で上半身を起こしていた京川の顔がさらに真っ青になる。体の震えは、ますますひどくなっていった。

「聞いたぞ!お前、授業をさぼったのか!?」

 いきなり責め立てようとする男の声に、浅野先生は京川の方へ近づいて来ようとした男の前へすっと立ちふさがった。

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