第157話 成績を上げる意外な方法 その⑧

「あら、霧島さん」

「浅野先生、様子はどうですか?」

 保健室へ入ってきた結は、小声で浅野先生へ質問する。

「今、意識を取り戻したところよ」

 結より少し大き目な声で、浅野先生は返事をした。

「…?」

「図書室で倒れた貴女を、司書の人達と協力して保健室まで運びました。かなり疲れがたまっている、と浅野先生は判断しましたが…」

「―授業!?」

 突然、女生徒は悲鳴を上げて飛び起きた!   

「もう放課後よ。授業は終わっているわ」

 落ち着かせるように、浅野先生は女生徒へ声をかける。

「…どうしよう、勉強が遅れちゃう…」

 悲痛な顔で、女生徒は頭を抱えた。それで絶望の淵に立たされているみたいに。

「その授業でしたら、二組の人に頼んでノートをコピーさせていただきました」

 安心させるように、結は右手の数枚のコピー用紙を差し出した。 

「…!?」

 信じられない顔で、女生徒は結の方を見る。

「倒れた時、貴女の名札を見させていただきました。貴女は二組の生徒だったんですね」

 望ヶ丘高校の制服には、名札が付いている。そこには校章が付いており、その隣に名前が書いてあるのだ。

 さらに名札には学年と組も書いてあった。それを見て結は同じ学年の、隣のクラスの生徒だと知ったのだ。

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