第156話 成績を上げる意外な方法 その⑦

「もし何かありましたら、遠慮なく申し出てください」

 そう言った結は、再び図書委員の仕事に戻ろうとした。

 が、結が離れた瞬間、女生徒はふらつきながら机の上でうつ伏せになってしまった。

 そして力を失った女生徒の手から、シャープペンシルが離れてしまった。それが床に落ちた音が響き、ころころと転がるとそのまま動かなくなったのだ。

「…!?」

 結はさっきより強く、女生徒の肩を数回揺すった。

 だが、女生徒の反応はない。もしかしたら眠っているのは違う状態かもしれない。

 顔を近づけて、息をしているのを確かめた結は、すぐ司書がいるカウンターへと走っていった。



 女生徒が目を覚ましたのは、保健室のベッドの上だった。

「…ここは?」

 ぼんやりとした表情のまま、弱弱しい声を出す。まだ意識がはっきりとしていないのか、天井へ視線を向けていた。

「気が付いた?」

 保健室の浅野ほのか先生が、顔色を見るためにそっと話しかけてきた。

「…?」

 自分の横に居る、白衣の若い女の先生を見ても、女生徒はまだ頭がはっきりしないままだ。

「あなたは図書室で倒れたのよ」

 そう説明しても、女生徒はまだぼんやりしていた。

「失礼します」

 数回ノックした後、誰かが保健室へ入ってきた。

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