第151話 成績を上げる意外な方法 その②

 そしてこの高校の授業は、思っていたより分かりやすかった。

 どの先生も、いろいろ工夫して教えてくれる。それで満の中にあった勉強への苦手意識が少しづつ薄れていったのだ。

「もし分からないところがあったら、遠慮なく聞きに来てくれ。いつでも、受け付けるからな」

 担任の春山先生は、まだ自分のテストの結果にいろいろな顔を浮かべている生徒達へそう声をかけた。


「成宮さん、全部満点だったんだって!?」

 休み時間が始まった時、成宮華は同級生からの質問に「そうだけど?」と返事をした。

「さすが成宮さん!すご~い!!」

 幸澤市の名家で、さらに大企業な成宮家の令嬢である華が中間テストで全教科満点だったことを褒めたたる声が教室に響き渡る。

「私だけじゃないわ。結も満点だったのよ」

 自席に座ったままだった華が、別の席に座っていた女生徒へ顔を向ける。

 茶色のロングヘアで華やか印象がある華とは対照的な、黒髪のセミロングで眼鏡をかけた、真面目でおとなしそうなその女生徒は、図書室から借りた文庫本を読んでい

た。

「霧島さんも!?」

 華からの言葉に、その同級生は納得な顔をした。結が首席で合格した、という噂を耳にしていたからだ。

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