第147話 番外編・校外学習での出来事 前編

 望ヶ丘高校の一年生達は、卯の竜山奥公園で校外学習をしていた。

 この公園はとても広く、幸澤市民なら必ず学校の遠足なので来たことがあるくらいのなじみ深い場所だ。

 朝、学校からバスでここまで来た後、ツツジの花が咲いている斜面をバックに写真を撮ったりする女生徒達や、持ってきたボールで遊ぶ男子生徒達など、それぞれの生徒達が思い思いに過ごしていた。


「いい天気だな~!」

 校庭より広い芝生の上で寝ころんでいた流が、青空をみて上機嫌で声をもらした。

「ああ。風もすごく気持ちいい…」

 満も同じように、芝生の上で横になっている。二人の傍には、学校指定のリュックサックが置いてあった。

「中間テストが終わったから、解放感もハンパないぜ…」

 先週の木、金曜日に、中間テストが行われたのだ。この学校は、連休明けの週に行われるので、日ごろから勉強しておかないと悲惨な結果になってしまう。

「…確か、明日返って来るんじゃ」

「…もう少し、この夢の中に居させてくれ」

 満からの現実を思い出させる声に、流はやや悲痛な声でそう返したのであった。


 持ってきた弁当を食べた結達は、公園内の交流館に居た。

 木で出来た、広い建物の中には椅子で座れる場所があり、結と華、そして他の数人の女生徒達が、売店で売っていたアイスクリームを食べながらお喋りをしている。

「ここのアイス、美味しいわ~!」

「バーベキューも出来るんだって!」

「えー!いいなー!やってみたい!!」

 そう楽しく会話していたのは華達で、結は聞き役に徹しながら、バニラのアイスを食べていた。

「あれ、霧島さん達!?」

 ふいに後ろから、結達へそう声をかけられる。振り向くと二人の女生徒達が近づいて来た。


「杉村さん、竹町さん。こんにちは」

 結は、軽く会釈をしながら挨拶をする。

「杉村さん達も、アイスを食べにきたの?」

 華も二人に気づいたのか、アイスの美味しさが伝わる笑顔でそう聞いてきた。

「ううん、私達はトイレ」

 杉村が軽く首を左右に振りながら答える。  

「トイレ行ったら、食べてみない?美味しいわよ」

 アイスを勧めてきた華へ、竹町は「うん、考えておくね」と返事した。



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