第142話 傷つける友人、助ける他人 その80

「私も、杉村さんと竹町さんのお気持ちを支持します」

 結もカウンセラーの先生からの言葉を聞いて、内心ホッとしていた。

もし無理やり仲直りをさせようとしたら、結は二人の意思を尊重して意見を言おうと考えていたのだ。

 だが、カウンセラーの先生は杉村と竹町の気持ちを優先してくれた。だから、結は安心して、考えていた事は同じだと告げたのだ。

「…霧島さん」

 てっきり、終野と仲直りを進めてくるかと思った杉村は、結も同じ意見だったのでようやく固くなっていた表情が少し緩んだ。

「その手紙、どうする?もし持っていたくないのならこちらで預かる?」

 カウンセラーの先生から、そう提案された杉村と竹町は顔を見合わせるとすぐにどうするか決めた。

「…私は、持っていきます」

 先にそう答えたのは竹町だ。自分を酷く傷つけた相手からの謝罪の手紙を家へ持っていこうとしたのだ。

「…私も、持っていくよ」

 顔を上げた杉村は、決意を込めた顔で決断した。

(家で処分する、という訳ではなさそうですね)

 杉村の顔からは、怒りとかは見られない。おそらく、家に着いたら自分の部屋の中の目に見えない場所とかに置いておくのだろう。

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