第137話 傷つける友人、助ける他人 その75
事件が終わった後、杉村と竹町は休み時間などによく一緒にいる事が多くなった。
杉村と竹町は部活が違うので、その日の放課後は別行動になるのだが、昼休みはこの学校の食堂の隣にあるフリースペースで一緒にお弁当を食べるなどして、学校生活を楽しんでいる。
「杉村さんが、こうして再び竹町さんと一緒に居られるのは、冬沢先生達が解決してくれたからなのよね」
華が言った通り、事件を解決したのは先生達が調査した後、終野を問い詰めたから、と公表された。
結は自分から『事件を解決した』と、言っていない。
杉村達にも「目立つのは好きではないから」とこの事は言わないでほしい、と口止めしたのだ。
杉村と竹町は「霧島さんのおかげで、助かったから」と承諾した。だから、他の人に聞かれても「先生が助けてくれた」と話していたのだ。
「…霧島は、何で言わないんだろ…」
真相を知っている流が、小さな声で言う。流も、この事は誰にも話さなかったが。
「霧島にとって、困っている人を助けるのは当たり前なことだから、じゃないのか?」
「…なるほど」
考える間もなくそう答えた満を見て、流は納得した。
空になったお菓子の箱を店舗のロゴが入ったビニール袋へ仕舞い、それをロッカーへと片づけた結は、自席に戻ると机から取り出した文庫本を読み始めたのだった。
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