第136話 傷つける友人、助ける他人 その74

「い、いいよ。そんなに気を使わなくても」

 竹町の分まで要求しているようで、杉村は慌てて断ろうとした。

「嫌いな人に無理やり勧めるより、一緒に食べたい人の分としてあげた方がお互い気分がいいでしょ?まあ、霧島さんはちゃんとそれを見越していたけど」

 確かに、結のお土産のお菓子は二人で分けれるようになっている。結は杉村が一人で食べないだろう、と最初から分かっていたのだ。

 暗に華の視野の狭さを指摘するような根室の言葉に杉村は「いいの…?」と聞いてきた。

「それに私はダイエット中なの。誰かさんのように抜群のスタイルじゃないから」

 本当に食べたくないから、と言わんばかりの根室の態度に「じ、じゃあそうするね」と杉村は受け取った。

「根室さん、ありがとう!」

 華と結からのお土産を手に取った杉村は、根室へ礼を言った。

「別にいいわよ」

 あまりトゲがなかった口調でそう返事をすると、根室は自席へ向かった。

「そういえば、杉村は最近、竹町とよく一緒にいるんだよなあ」

 これらのやり取りを見て、流はふとそう思い出した。

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