第131話 傷つける友人、助ける他人 その69
終野が転校した、と教えられたは五月の連休明けだった。
登校してきたクラスの生徒全員へ、春山先生が朝のHRで話したのだ。結達も、ここで初めて終野が県外の高校に転校をした、と知った。
しかし華は、終野の両親が県外への転勤願いを出していたのは知っていた。それをすぐに結へ言わなかったのは、引っ越しが完全に終わるまで父親から口止めをされていたからだ。
終野の両親は事件が解決した日から、転校先の高校を探し始めていた。そして転勤願いが受理する前から転校するための高校が見つかったので、先に転校の手続きをしたかららしい。
その間、終野は大人しく学校に通っていた。放課後のカウンセリングも、反抗せずにぽつりぽつりと一言ずつ心の傷について話すようになったらしい。
それを聞いた他の同級生達から「あの芸術科の子を脅したから」という声が聞こえてきた。事件があった次の日に、竹町が犯人だと先生達から説明があったのだ。
しかし、その理由を先生達は「終野に脅されたから」と、竹町をかばうように説明した。
絵を描くために特別室の近くに来た時、終野に大事な絵を取り上げられてしまったため、それを返してもらうためだった、と。
結達からすべて聞いた後、『真相は話さない方がいい』と先生達は満場一致で判断した。だから別の理由を上げて、他の生徒達を納得させようとしたのだ。
ちなみに、竹町を疑っていたあの三人の女生徒達は『やっぱり犯人だった!』と、あの時怒られたのが納得できなかった。
だが、その事を聞いていた担任の先生から「証拠もないのに、むやみに疑ってそれを周りへ言った事に対して注意をしたからだ」と、さらにその事で注意されてしまったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます